2020年 08月 01日
透明水彩絵の具の奥深さ
透明水彩絵の具には透明色と不透明色があります。これを知っていると彩色の時にとても
便利です。例えば1回の塗りで強い色合いを作りたい時には不透明色を使うと、その後の
重色をしなくても済む場合があります。明るい作風にしたい時は透明色を多用する
と良いと思います。また重色する際に下層の色を生かしたい時は透明色、下層の色を
あまり見せたくない時はに不透明色、を塗るということも出来ます。その他塗る順序に
よっては濁りが回避できたり、発色を良くしたりと、その恩恵は数々あります。
しかしどの色が透明・不透明かを覚えるのは大変です。ホルベインの絵の具チューブ
には透明性記号(4種類→下図)が表示さており、購入する時、或いは使う時に確かめる
と良いでしょう。ホルベインの絵の具を透明度別に分けたページを作りましたので
参考にしてください。→ 透明色・不透明色のリスト
福井良佑の透明水彩 通信講座 「混色と重色の使い分け」より抜粋
2020年 07月 12日
「水彩紙の比較」
さまざまな紙から学ぶ水の現象
例えばアヴァロンという水彩紙は画面を濡らすと暫くは乾かないという性質を持っています。そのため、水分量を少なめに設定したり、滲みやボカシの作業をゆっくりとすることができます。一方 ホワイト・アイビスという紙は水の浸み込みが非常に早いので、水分量を多めに、更に作業を早く行う必要があります。どちらが優秀な水彩紙ということではなく、その紙に合った水加減や作業が必要です。「私は使う紙が決まっているので、他の紙には興味がない」といことなら勿論それも構いません。私自身は「自分に本当に合っている紙は何だろう?」或いは「モチーフによってこの紙は合っているか否か」ということにとても興味を持っていましたので、大体の銘柄を使って来ました。そのお陰で、水加減や描き方関しては勉強させられましたし、水彩の奥深さや水の性質を肌で感じ取ることが出来ました。水彩画を永く楽しみたい方は「紙の旅」に出てみることも良いのではないかと思います。
以下私の主観ですが、各紙の個性(水加減や水の奥深さ)を中心を箇条書きにしましたので参考にしてくださればと思います。
アルシュ細目 300g/㎡
色を塗り始めると、強烈に弾かれるような感覚があります。少量の水で描こうものなら色がかすれ、門前払いされてしまいます。この紙は最初は太い筆にたっぷりの水(色)を含ませて描くべきなのでしょう。ある程度彩色が進むと、ドーザが弱くなるせいか、小筆でも容易に描くことができます。大きくゆったりと塗り始めて、徐々に小さい作業に入って行くという手順の王道を強いるように作られているのかと思いたくもなります。とにかく高貴な紙を目指して作られた紙ということは間違いなさそうです。
ウォーターフォード・ホワイト(ブロック) 300g/㎡
浸水性・撥水性のバランスはパーフェクトでしょう。丈夫夫さや発色も平均以上で、特に色の定着力はアルシュに匹敵するかそれ以上ではないかと思わせるほど、重色に耐えてくれます。にじみに関してはややぼんやり気味の表情になるのでバックランやエッジの効いた表情を作りたい方には不向きかも知れません。
ウォーターフォード・ホワイト(スプリング) 300g/㎡
ブロックと同じ紙と思っている方が多いようですが、性質はかなり違います。塗り始めは水が素直に浸み込んでくれない印象があります。かと思いきや暫く経つとジワジワと浸み込み始め、紙が膨らみ波打ちし始めます。定着力や発色はブロックとさほど違いがなさそうですが、意外と扱いの困る紙かも知れません。
ストラスモア・インペリアル 300g/㎡
塗った色が乾くと比較的クッキリめの色面になります。バックランも奇麗にできます。大量の水を使っても波打ちもさほど無く、この紙の丈夫さが伺えます。定着力もあり、重色やにじみを何回でも施せるのは有り難いです。
アヴァロン 300g/㎡
水の浸み込みと弾きのバランスが良い紙です。画面を水で濡らすといつまでも乾かないので、にじみやぼかしをゆっくりと楽しむことができます。色が乾くと多少淡くなりますが、鮮やかさはそれほど変わりません。郡を抜く紙の白さがそうさせているのでしょう。
ラングトンプ・レステージ 300g/㎡
水の浸み込みはかなり強いです。色を塗っても塗っても吸い込んで行くので、和紙のようにぼんやりするのかと思いきや、乾くと色がしっかりと定着しているという不思議な紙です。この水加減に慣れしてるてくると、重色もしやすく深い色合いをつくることができます。懐の奥深ところまで水を収める印象で、高級紙の威厳を感じます。
ホワイト ワトソン(ブロック) 300g/㎡
色を塗り始めるとスーッと程よい速さで紙の中に入っていく感じがします。1回目の塗りに関しては、難しいことや問題点が一切有りません。しかし2回目の塗り以降は気軽な気持で筆を運べない印象があります、というのは下層の色が剥がれるのです。重色に関しては相当柔らかい筆でそっと塗らないと、最初の美しさは保てません。しかしにじみは於いてはこの紙に勝る紙は無いぐらい美しさを発揮します。安定した色の広がりがあるので滑らかなグラデーションをつくることが出来ます。
ホワイトアイビス
色を塗った瞬間に紙の中に浸み込んでいき、画面上の水分はあっと言う間に無くなります。空のような広い面積を塗る時や、大きめのぼかしをする時は多めの水分と速い作業が要求されます。その意味では上級者向きの紙と言えるでしょう。
モンヴァルキャンソン
初めてこの紙を見た時、「なんて美しい紙だろう」と一目惚れしたことを思い出します。純白で目の並びも自然で、表示の300gより厚く見えるので、さぞかし丈夫で描きやすい紙だろうと想像しました。しかし描いてみたら直ぐにこの紙の難しさに気がつきました。色を塗り始めると水が紙の上に浮いている感じで、思う様に着色されません。暫く経つと紙が蒲鉾のように歪曲し始め、塗った色が流れてしまうことが度々ありました。しかし今でもこの紙への愛情は捨て切れません。道具の美しさは制作意欲をかき立てる重要な要素なので。
2020年 06月 21日
「観察・物を見る目について」
いくら技術があっても観察眼が無ければ、
その効力は無いに等しいかも知れません。
しかし観察眼さえあれば、
少々の技術不足はカバーできますし、
失敗してもその原因が何であるかが分り、
納得することができます。
本日6月22日通信講座の3番
「観察・物を見る目について」を配信開始します。
「形を正確に捉える力」「濃淡を正確に捉える力」
「色彩を捉える力」「自然現象を理解する力」
「空間を把握する力」等、観察に必要なノウハウを
多数の画像や図解を盛り込みご紹介して行きます。
錯覚が観察の邪魔をする
日常生活の中で私達は頻繁に錯覚に陥っています。私たちの目を欺くものとは
一体どんなものなのでしょう。様々な物を例に上げ、述べて行きます。
※下の図は人は如何に錯覚する生き物か、それを自覚するためのクイズです。
人は錯覚の世界で生きている
人は固定観念や思い込みよって物を見ていることを先に述べました。物が見えるとは、目から
入った映像の情報が脳に行き そこで複雑な情報処理が行われる、その結果一つの物として
認識されることです。つまり物を見ているのは目ではなく脳ということになります。
ある研究によると、知能の高い人間だからこその現象であり、人間が周りの環境に適応する
ための自然で健全な脳のメカニズムということが解っているそうです。
しかし、錯覚することは紛れもない事実です。そのこと自覚し 改めて行けば観察力は
自ずと向上して行きます。
閲覧の料金は3500円です。興味がある方は覗いてみてください。
2020年 05月 20日
「にじみのポイントと楽しみ方」
水彩通信講座の2番教材「にじみのポイントと楽しみ方」が今日配信されました。
にじみの魅力について
にじみの魅力は何と言っても
「人の技術では表現しきれない水の表情が楽しめる」ことです。
画面に水を引き、色を置いた瞬間に
パァっと花火のように広がる時の感激は何とも言えません。
また水加減とタイミング次第では様々な表情を作ることが出来るので、
この技法をマスターすると水彩画を描く楽しさが倍増します。
正に水彩の醍醐味はにじみにあると言っても過言ではありません。
※下の写真はページの一部です。
水彩教室に通ったけれど描き方がよく分らない
自宅から教室へ通うのが大変 おっくう、日程が合わない
好きな日・時間に学習したい、繰り返し練習をしたい
実演を動画で見たい、丁寧な解説や画像が欲しい、
確実に上達したい、水彩の奥義や極意を知りたい
という方はご一読ください。
また自分の描いた水彩画を添削して欲しい、
アドバイスが欲しいという方にも おすすめです。